三上本人です。 スズメは人気な動物なため、飼う・飼育したいという思う人も多いはず。でも実は「野生の動物(スズメ)を飼う・飼育するのは(保護除く)法律で禁止されている」のです。法律で禁止される理由から野生のスズメに遭遇した時の保護方法までスズメに関するを情報をまとめます。 人が、世界中のあらゆる場所に持ち込み、野外に放したり、逃げ出したりして野生化した動植物を「外来生物(外来種、移入種)」と呼びます。ごの外来生物今、在来の自然環境や野生生物に深刻な悪影響を及ぼすケースが多く起きています。 úH²¸ÌvªÍ©ç|DStrix 21:53-70Dac@xií¾ ½¯µjF{ï²Aåãs§©Rj エンタメスズメは人気な動物なため、飼う・飼育したいという思う人も多いはず。でも実は「野生の動物(スズメ)を飼う・飼育するのは(保護除く)法律で禁止されている」のです。法律で禁止される理由から野生のスズメに遭遇した時の保護方法までスズメに関するを情報をまとめます。雀(スズメ)は、スズメ目スズメ科スズメ属に分類される鳥類です。私達にとても身近な鳥で、北海道から沖縄までどこでも見られるもっともポピュラーな鳥の1つです。見た目の愛らしさから、動物(鳥類)の中でも人気が高くペットにしたい(飼う・飼育したい)という声をよく耳にします。スズメの生態はユーラシア大陸の広くに分布していて、あまり寒い地方は好まず、熱帯または亜熱帯の地域にも分布域があるそうです。人が住む地域ではほぼ必ずスズメを見ることができるため、よほどの人が住まない僻地以外では姿を確認できます。スズメなどの野生動物は生態系(複雑にからみ合った自然のシステム)を守るため、法律で保護される対象になります。そのため、野生動物(鳥獣など)の保護及び狩猟の適正化に関する法律【鳥獣保護法(ちょうじゅうほごほう)】により、保護されています。この法律では鳥の種類を問わず、すべての野鳥の捕獲・飼育(飼う事)を禁止しています。保護対象の野生動物を守る事は、自然全体を保護することにつながるのです。【鳥獣保護法】で認められた野生動物、認められた時期、認められた場所、認められた方法を順守する場合、対象となる野生動物を捕獲・保護・飼育(飼う事)ができる場合があります。(但し、銃や罠などを用いる場合は必ず許可が必要になります)スズメに関しては、「狩猟鳥」に入りますので、「狩猟による捕獲」又は「許可による捕獲」の対象となります。詳しくは、「鳥獣の捕獲規制について」をご覧ください。保護する対象のスズメが「ヒナ」であった場合は、まず周囲に「巣が無いか」「親鳥が近くにいないか」を確認してください。スズメのヒナは親鳥から、飛ぶことやエサの取り方を学んでいます。この時期に迂闊に保護してしまうと、生きていくために必要な術が欠けたまま育つ事になり、野生に返しても餓死や捕食されてしまう可能性が高くなります。そのため保護する場合は、周囲を確認し、巣が無く・親鳥もおらず、「保護しないと確実に死んでしまう場合」にのみ保護しましょう。成鳥のスズメはよほどでなければ、人につかまりません。もし様子がおかしいスズメに出会ったら動きを観察してください。少しでも逃げる素振りがあるなら、保護せずに様子を見ましょう。その時、近寄っても逃げれない・飛べないスズメでしたら保護しましょう。「弱っている」「怪我をしている」「病気にかかっている」かもしれません。まだ羽毛が生えていないヒナの場合、保温が特に重要です。スズメの体温はが35~37度が適温と言われています。一定に保つように心がけましょう。羽毛が生えていないヒナの場合、まず注意しなくてはいけないのが、スズメの成鳥用の餌をふやかしたものやミルワームは、ヒナは消化できずに内臓内で詰まる可能性があるので与えてはいけません。最悪の場合に命を落とします。では何をたべさせるのかというと、メジロの餌などに使われるすり餌に小松菜などをすりおろして混ぜたものを与えます。少し羽が生えそろってきたヒナには、昆虫や青虫などの虫類(ミルワームなど)やチンゲンサイ・小松菜・大根葉などの青菜、すり餌、ボレー粉などを与えます。どれか1つでは栄養が偏り栄養失調になりますので、満遍なく与えましょう。スズメには首のつけ根右側に「そのう」という餌をためておく器官があります。餌を与える時は「そのう」が膨らむまで与えましょう。餌の間隔は1~2時間おきが目安になります。弱っている場合、体温が低下してる可能性があるため保温が必要です。ヒナと同様に35~37度を保ちましょう。もし怪我をしている場合は、応急処置後すぐに自治体や獣医さんへ見せ相談しましょう。スズメは、米や雑草の実などを好み、特にイネ科の植物の実が大好きで、雑穀も好みます。ですが、保護されたスズメは弱っている可能性があるため、食べやすく消化しやすくなるため、すり餌を40度くらいのぬるま湯で練り、耳たぶくらいの少し固めに練ったものを与えるのがポイントです。尚、小松菜をすったものも混ぜてやれば更に栄養価があがりますので、あればおすすめです。昔は沢山いたスズメですが、現在は巣を作成できる家が減少したためカラスや猫などの天敵に食べられる被害が増し、スズメの数はどんどん減っています。2008年頃は日本本土(北海道から九州、沖縄まで)におけるスズメの個体数は、およそ1800万と言われていましたが、この20年で約6割減少したとも言われています。このまま放置すれば、近い将来絶滅する可能性もあるのです。ですから、【鳥獣保護法】によって保護する事が重要と考えられています。2020-07-26 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その結果のグラフからは、スズメの個体数の減少が、明確に見てとれます。次は、北海道の市街地のスズメの個体数を1991~2004年と2006年で比べたものです(藤巻・一北2007)。17ヶ所で調べて、14ヶ所でスズメの個体数が減少していました。 本サイトは、一般の方々に「日本におけるスズメの個体数とその減少」について知っていただくために設けたサイトです。以下によく質問される事柄についてまとめました。なお、文責は三上修にあります。以下をご覧になる前に「2008年、日本本土(北海道本島、本州、四国本島、九州本島、沖縄本島)における成鳥の個体数は、およそ1800万と推定されています。この 中にはヒナや若鳥の数は含まれていませんので、秋にはこの数値の数倍になると思われます。そして秋から冬にかけて個体数を減少させていくのでしょう。ただしこの推定値を出す際には、いくつかの仮定を置いています。そのため1800万羽という比較的細かな数字ではなく、数千万羽と考えるのが妥当と思われます。用いた仮定などについては、以下のリンク先の論文に詳しく掲載してありますのでそちらをご覧ください(どなたでも閲覧可能です)。一口にスズメの個体数を調べるといっても、どのように調べるかは難しい問題です。当然のことながら日本中のスズメを1羽1羽数えるわけにはいきません。結局のところ「ある一部の場所でスズメの個体数密度を測定し、それを面積の分だけ掛け算する」しかありません。まず基本となる密度の測定ですが、試行錯誤の結果、動き回っているスズメを数えるよりも、道を歩きながらスズメの巣を数えた方が安定 した精度で調べることができることがわかりました。とはいえ、町中を歩いて調査をしても巣そのものを発見することはそれほど多くありません。しかしヒナの 声や親鳥が餌運びをしている行動など手掛かりにして、「この屋根のどこかに巣がある」とか、「この家の裏庭のどこかに巣がある」というところまでは絞り込 めます。今回の調査目的のためには厳密な場所まで特定する必要はなく「この辺りにある」ということで十分ですので、こうしてスズメの巣の密度を調べまし た。「個体数密度ではなく巣の密度でいいのか?」という疑問をお持ちのかたもいらっしゃると思いますが、それは先を読んで下されば、その方法の問題点とと もに納得していただけるかと思います。調査は、秋田、埼玉、熊本の3県で行いました。この3県にした理由は気温や気候の偏りによってスズメの生息密度が異なることが考えられました ので、北から南までバランスよく含むようにしたためです。調査した環境は、商用地、住宅地、農村、森林、その他という5つの環境です。なお、この5つの環 境のうち、森林にもスズメが生息しているとお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、例外はあるにせよ、スズメは人が近くにいるところでしか巣を作りま せんので、森林にはいないのです。ですから、ここで森林を調べているのは「確かにいないこと」を示すためなのです。このようにして環境ごとのスズメの巣密度がわかりました。次はそれぞれの環境が日本本土にどれくらい(面積)あるのかを知る必要があります。 ちかごろは便利になったもので、日本のどこにどんな環境がどれくらいの面積あるのかを、インターネット上にあるデータから調べることができます。そのデー タとは国交省が提供している土地利用に基づく情報で、約1km四方単位で「農地がどれくらいあるか」、「森林がどれくらいあるか」などが数値化されていま す。こうして分かったそれぞれの環境の面積に、先に野外で調べた巣密度をかけあわせることで、日本のスズメの巣の数が推定できます。その結果、お よそ900万巣と出ました。スズメは多くの場合、一夫一妻で繁殖すると考えられていますので、これを2倍した「1800万羽」が繁殖期の成鳥の数となりま す。推定時に多くの誤差を含んだ値として慎重に取り扱う必要があります。誤差を生み出す要因としては、調査時における巣の見落とし、繁殖していない個体(巣をつくっていない個体)の数え落とし、などが考えられま す。これらは、スズメの個体数を過小評価することにつながります。さらに、地理情報データからどこを商用地としてどこを住宅地とするかを判定する際にも、 大雑把な処理を行っていますので、誤差のもとになっています。このように荒っぽい解析をしている部分もありますから、真のスズメの個体数が(今のところ調 べようがありませんが)、1800万という値の数倍の範囲内にあっても私は驚きません。ただ、推定値よりも10倍も多いまたは10倍も少ないということは ないでしょう。というのも、地理情報データを処理するときにありえない判定をしても、推定値は2倍程度の値に収まるからです。それにもしスズメの個体数が 推定値の10倍もいて人口と同じくらいであれば、1世帯につき1つ程度のスズメの巣があることになりますが、スズメの巣はそんなにたくさんはありません (だいたい4、5世帯に1つです)。逆にスズメの個体数が推定した値の10分の1だったら、数十世帯に1つ程度しかスズメの巣はないはずですが、スズメは もっとたくさんいます。以上のことを考え合わせると、おそらく繁殖期のスズメ成鳥個体の数は数千万羽の桁には収まると思います。この推定が出る前に「スズメは何羽い るの」と聞かれても、誰もどう答えてよいかわからなかったと思います。数百万なのか、数千万なのか、数億なのか、数十億なのか。しかし今回の推定で「およ そ数千万」という桁がわかっただけで意味があったのではないかと思います。いくつかのデータから、スズメの個体数がどれくらい減少しているか推定してみました。すると減少率を低く見積もったしても、現在は1990年 当時の50%程度の個体数しかいないと推測されます。一方、減少率を高く見積もると、その値は20%程度、つまりこの20年たらずで1/5になった計算に なります。詳しい内容についてはなお、スズメの「個体数を推定した研究」と「個体数の減少を推定した研究」は全くの別のやり方をしていますので、ご注意ください。過去にスズメの個体数を調べた研究はありません(もしあれば、私が推定した個体数とくらべて減少率を推定することができます)。そこで、おも に次のようなデータを用いました。「1.いくつかの地域で行われていたスズメの個体数変化の調査データ」、「2.スズメによる農業被害の経年推移データ」 および、「3.駆除狩猟されたスズメの個体数の経年変化データ」。1については場所が限られていますし対象地域だけの傾向という可能性はありますが、それでも明らかにスズメの個体数が減少していることがみて取れました。2,3については全国的に行われた大規模な調査ですので、より信頼性が高いと思います。これらのデータが「単純にスズメの個体数の減少を反映したものである」と仮定すると、現在のスズメの個体数は1990年ごろと比べて15%程度に減少したことになります。しかし農業被害の減少の中には、減反によって水田面積が減ったので被害も減ったという効果も含まれているかもしれません。また駆除および狩猟 されたスズメの個体数の減少にも、狩猟者が減ったという効果が含まれているかもしれません。そこでそれらの効果を考慮してみました。すると現在のスズメの 個体数は当時の20%程度と推定されました。これが「20年足らずのうちに個体数が20%になった」という根拠です。上記のように推定はしましたが、まだ考えられていない効果があります。農業被害の減少については「スズメが田畑に近づかないようにするための 防鳥技術が発達した」、「稲を日干しすることがなくなったのでそのときに食べられる量が減った」などが考えられます。駆除狩猟された個体数の減少について も「スズメの需要が減ったので捕獲する必要がなくなった」、「個体数が減ったので捕獲効率が下がった」などが考えられます。これらがどれくらいの効果を もっているかは、今もっているデータからではわかりません。しかし他のこまごまとしたデータと比較検討すると、これらの効果があったとしてもやはりスズメ の個体数は減少しており、当時の半分程度にはなっていると推測されました。これが「20年足らずのうちにスズメの個体数は50%になった」という根拠で す。1990年以前のデータはあまり多くないのではっきりしたことは言えません。ただし1960年ごろのスズメの駆除・捕獲個体数は現在の30 倍、農業被害に至っては現在の60倍もあったという試算もあります。それを考えると半世紀で1/10、ひょっとしたらもっと少なくなっているかもしれませ ん。ひとつの推定値に過ぎません。とはいえ、いたずらにスズメの数が減少していることを煽ろうと思ったわけではなく、既存のデータをなるべく慎重に検討しています(むしろ私は 実際に自分で減少率を推定するまで、スズメの減少については眉唾ものだと思っていました)。ですから現在わかる範囲ではそこそこ信頼できる値と思われま す。しかし情報が不足していることも事実です。今後「こういったデータもある」、「こういったデータも推定に使える」となることで、より高い精度で減少率 がわかってくると思います。はっきりとしたことはわかりません。一般に、なぜ減ったのかという原因を特定するのは難しい作業です。それに比べれば「スズメの個体数は何羽か」、「スズメは減ったのか」などは調べればわかるものですから容易な問題といえます。そのため以下に述べる減少要因はあくまで推測に基づくものです。減少する要因としてスズメの生活史から次のようなことが考えられます。「1.巣を作る場所がない」、「2.子育てがうまくいかない」、「3.巣立った子供が秋まで生存できない」、「4.巣立った子供が冬を越せない」現在はスズメにとってどの時期も厳しい時代になっているように思えます。まず1の巣を作る場所についてですが、最近は気密性の高い住居が多く なってスズメが巣をつくる場所が減ったように思えます。2の子育てがうまくいかないことについては、近年、街中からスズメが餌をとるような環境、具体的に は舗装されていない小道・公園および空き地が減少したことが影響していると考えられます。「でもスズメは街路樹などでも餌をとっているから大丈夫なので は」と考える方もいらっしゃるでしょう。しかしそのような街路樹で餌を採れる効率はあまり高くないと思われます。実際、街中では農村などの餌が多いところ と比べて、1つがいの親あたりの若鳥の数が少ないようです(詳細については、私としては1と2の組み合わせがもっとも効いているのではないかと考えています。というのも、スズメは餌を取りに行く範囲が狭い鳥です。せい ぜい巣から半径100mほどです。そのためスズメがうまく繁殖するためには、巣を作れるような隙間と餌を効率よくとれる環境(緑地など)がセットになって いる必要があるのですが、その組み合わせが日本の都市から減っているのではないかと思います。スズメは全国的には減少傾向にあると思われます。しかし全国どこでも一様に減っているかどうかはわかりません。あまり減っていないところもあ るかもしれませんし、かえって増えているところもあるかもしれません。もし本当に増えているところがあれば、そこにスズメの減少要因を解明する鍵があるか もしれません。加えて最近では駅前などにスズメの集団塒(ねぐら)が見られることがありますので、それを見て「スズメはたくさんいる」という印象をお持ちの 方もいるかもしれません。しかしこのような塒は昔からあり、さまざまな文献から判断するに昔はもっと大規模で数もたくさんあったように思われます。スズメ の塒は、昔は竹やぶやヨシ原、休耕田などにあり、万羽単位のものもあったそうです。スズメが塒に入る様子を「スズメ合戦」と呼び見世物にしていたところも あったくらいです。近頃はそのような塒となる環境が減っています。そのため都市の中心部でスズメの塒を目にする機会が増えて、たくさんいるような印象を与 えているのではないかと思います。おそらくそうだろうと思われます。これは以下の調査の結果から考えられることです。スズメは巣立ったあと、10日ほどは親のそばに留まって、餌をもらったり何が危険かを教えてもらったりして過ごします。この調査の結果、商業地では1.41羽、住宅地では1.79羽、農村地では2.03羽となりました。この結果から言えることは、都市部、とく に商業地では、ほかの環境に比べて繁殖成績が悪いということです。なぜ成績がわるいかはまだわかりません。営巣場所が悪かったり、餌が少なかったりするこ とが考えられます。それについては今後の調査で明らかにする予定です。次にこのヒナ数が過去と比べてどうなのかを知りたいのですが、残念ながら、過去に同様の調査をやったことがないので、すぐには比較できませ ん。ただ、いくつか文献をひっぱってくると、2から3羽のヒナをみることが普通だったり、5羽くらいのヒナを連れているのもそう珍しくはないという話が出 て来ます。今回、約350データのうち5羽のヒナをつれた親鳥は1例だけでした。私自身、5羽のヒナを連れたスズメはみたことがありません。つまり今では それくらい珍しいことになってしまったということです。そういったことを考え合わせると、過去と比べても繁殖成績は悪くなっていると思われます。なお、繁殖成績の悪さが、繁殖ステージのどの段階によるのかはまだわかりません。産卵数が少ない、孵化率が低い、巣立ちまでの生存率が低い、巣立ったあと観測されるまでの生存率が低い、などいろいろ考えられます。これについても今後の調査で明らかにする予定です。この結果から考えられることがもうひとつあります。それは都市部ではスズメは増えられないのではないかということです。詳しい計算過程は省略しますが、スズメが個体群を維持するためには、この調査している時期に(つまり巣立ち後ちょっとたった時期に)、親鳥が 2羽ちょっとのヒナを連れていることが必要です(これは、2羽のペアから2羽が巣立てばいいという単純な計算ではありません。繁殖回数と寿命を考慮してシ ミュレーションしたものです)。計算のもととなっている生存率や寿命の値はそれほど信頼できるものではありませんので目安にすぎませんが、それでも商業地 の1.41羽という値はどう考えても小さすぎるので。この値でから考えると、商業地ではスズメは増えることができません。となると商業地のスズメは、農村 地など多少過剰に増えたところから流入して維持されているか、それともこのまま減少していくかのどちらかが考えられます。この結果に対して、「1回に産む子供の数を減らして繁殖回数を増やしているのでは」とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、それ はちょっと考え難いと思います。というのも、スズメは1回の繁殖をおこなうのに、最短でも40日程度はかかります。内訳を大雑把に書くと、産卵に5日(5 卵産むとして)、抱卵に12日、育数に14日、巣立ち後のケアに10日。この中には巣作りの期間などは含まれていませんので、実際には1回の繁殖に50日 以上かかるとみた方がいいでしょう。加えて、1回目の繁殖が終わったあとは疲弊していますから、すぐに次の繁殖にはとりかかれません。次の繁殖に入るまで に1月ほどかかるという話もあります。仮に育てる子を減らして疲弊を抑えてその期間を短縮したとしても、3回繁殖をおこなうためには、どんなにうまくやっ ても150日かかります。実際にスズメが繁殖を始めるのは、関東であれば4月の初旬で、終わりは7月末くらいです。この期間であれば2回繁殖しかできませ ん。確かに3月の中旬ごろから始める個体もいますし、8月をすぎても(場合によっては11月という報告もありますが)繁殖していることはあります。しかし それは稀な例です。3回繁殖する個体がいるのは否定しません。が、ほとんどのスズメは2回繁殖していると考えるのが現実的です。しかもすべての個体が2回 ちゃんと子を育てさせられるとは思いません。さまざまな理由により繁殖に失敗することが考えられます。となると、平均繁殖回数は1.5回~2回くらいと推 測されます。「いや、同じ巣から、1年のうちに連続して5回ヒナが巣立ったのをみた」というような話を聞きますが、おそらくそれらは同じペアではありませ ん。上述の数字を使うと産卵から巣立ちまでは、最短でも30日ほどです。連続しているように見えるのは、巣立った直後、巣の持ち主がまだヒナの面倒をみて いる段階で、別のペアが巣を使っているためだと思われます。実際スズメの巣を観察していると、ちょくちょくその巣のペアではないと思われる個体がやってき て、巣の中を覗いていく行動がみられます。この行動の本当のところはわかりませんが、おそらくは巣を持てないペアが、営巣場所を探しているのだと思いま す。つまり巣立ったらすぐに繁殖をする機会をうかがっているペアがいるわけです(それだけ営巣場所が足りていないということでしょう)。それにより、連続 ○回というような繁殖が見掛け上みられると思われます。上述した推定減少率が正しいとして、そしてその減少率が今後も続くと仮定してもすぐには絶滅しません。なぜなら数千万羽もいるのですから。しかしこのスピードで減少していくと、スズメは街中の鳥ではなく「農村にほそぼそと暮らしている鳥」にな る可能性があります。こう聞くとちょっと大げさなように思えるかもしれませんが現在ヨーロッパの一部の地域では、日本のスズメと同じような環境に生息する イエスズメという鳥が街中から消えてしまっています。だからといって日本のスズメにも同じことが起きるかどうかはわかりません。しかし近年の都市という環 境はスズメタイプの鳥類にとっては住み難くい環境になっているのかもしれません。その答えを私は持ち合わせていません。まずスズメの個体数が減少したことが本当にそんなに問題なのかを考える必要があります。今のところ生態系や人に特に悪い影響が出ているわけで はないように思えます(顕在化していないだけかもしれませんが)。そもそもスズメの個体数減少はデータがあるからわかったに過ぎず、おそらくほかの多くの 鳥類も減少傾向にあります。ひょっとしたらスズメよりもはるかに早いスピードでその個体数を減少させている種もいるかもしれません。そのような中でスズメ の個体数の減少について調査するにはお金も人も必要となりますが、本当にスズメに対して優先的に研究を行うべきかどうかなのは難しい問題です。それよりも もっと絶滅の可能性が高い種に対して、お金も労力も注ぎ込むべきかもしれません。しかしながら、もし身の回りからスズメがいなくなったら文化的な意味での損失が大きいように思えます。というのもスズメは俳句や昔話にも登場 する鳥です。「すずめの涙」「すずめ色」というような言葉もあります。スズメが身近な生きものでなくなってしまったらこれらが何か実感できなくなってしま います。もっと近年のことを例に考えてみると、テレビやラジオの中でスズメの「チュンチュン」という声は、市井や町中などの場所また朝が来たことを示す効 果音として用いられています。つまりスズメの姿や声は我々の日常の光景であり音であるのです。しかし、もし次世代にスズメが身の回りから消えてしまえば、 次世代の人たちにはこれらが何のことかわからなくなってしまいます。スズメが減ったときにどういうことになるかを実感して頂くために次のようなことを考えてみます。私の家は最寄駅まで歩いて15分ほどです。毎 朝通勤のために駅まで歩いていきます。その間にだいたい5つがいのスズメの巣があります。繁殖期にはスズメが電線で鳴いている姿や道端に降りて餌を食べて いる姿をみながら通勤するわけです。もし今の減少率がそのまま続くとすると、20年後にはこの5つがいが1つがいか2つがいになることでしょう。そして 40年後には全くスズメを見かけなくなってしまうでしょう。もちろん、そのようになっても町の中をよく探せばどこかにいるかもしれませんし、田舎に行けば まだそれなりに姿が見られるかもしれません。しかしながら(あくまで今の減少率が続けばという仮定のもとの話ですが)スズメはそういう鳥、つまり身近では ない鳥になってしまうかもしれないということです。今から数十年後に「昔は、スズメという鳥が街中にいてねえ・・・」なんていう会話が出るようでは少々寂 しいと私は考えます。ただしスズメに限りませんが、ある生物を保全する上で(しかもそれが必要だという前提の話ですが)「寂しいから・・・」という根拠はとても曖 昧です。もしその理屈で通せば次のようなことも言えてしまいます。「マングース(沖縄と奄美に持ち込まれ昔からいたさまざまな生きものに悪い影響を与えて います)を駆除するのは可愛そうだから、駆除するのを止そう」と。私と同じように「スズメがいなくなったら寂しい」とお考えの方はいらっしゃると思いま す。そう感じることはとても大事なことですし、その思いがなくては生物多様性の保全という考えは生まれてきません。しかしマングースの例でもそうですが 「その理屈だけで進む」わけにも行きません。このように「どうすべきか?」と質問されても、今のところ私には明確に答えられません。ただ研究者に限らないと思いますが、どの道の専門家で あっても、みな自分の思い入れのあるものが廃れかけているのを「どうにかしたい」と思うはずです。たとえば日本語学者は国語教育にお金をかけるべきだと声 高にいうはずですし、古典芸能に携わっている人は、その文化的な保護を主張するでしょう。その意味で私は「スズメの個体数は減少しているのでその減少要因 を解明すべきだ」と強く主張すべきなのかもしれません。 このようにイエスズメでは明らかな減少傾向が 日本におけるスズメの個体数減少の実態 三上 修1,2,* 1 日本学術振興会 2 立教大学理学部生命理学科 〒171–8501 東京都豊島区西池袋3–34–1 (2008 年12 月7 日受付;2009 年3 月5 日受理) 更新のお知らせ: 都市鳥最新情報 都心におけるカラスの集団塒の個体数調査(2020年)』は来年に延期します 2020/04/28 都市鳥ニュースNo.27号を発行しました 2020/6/26 都市鳥最新情報 速報 「全国鳥類繁殖分布調査」の報告をYoutube で・日本鳥学会大会の中止 2020/5/19 人が、世界中のあらゆる場所に持ち込み、野外に放したり、逃げ出したりして野生化した動植物を「外来生物(外来種、移入種)」と呼びます。ごの外来生物今、在来の自然環境や野生生物に深刻な悪影響を及ぼすケースが多く起きています。 そもそもスズメの個体数減少はデータがあるからわかったに過ぎず、おそらくほかの多くの 鳥類も減少傾向にあります。 ひょっとしたらスズメよりもはるかに早いスピードでその個体数を減少させている種もいるかもしれません。
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